2018年(抜粋)


Formation and Photodynamic Behavior of Transition Metal Dichalcogenide Nanosheet–Fullerene Inorganic/Organic Nanohybrids on Semiconducting Electrodes

Baek, J.; Umeyama, T.; Choi, W.; Tsutsui, Y.; Yamada, H.; Seki, S.; Imahori, H.

Chem. Eur. J. 2018, 24, 1561-1572. DOI: 10.1002/chem.201703699(Hot paper, Back cover pictureに選ばれました!)

 MoS2およびWS2といった遷移金属ジカルコゲニド(Transition Metal Dichalcogenide, TMD)とフラーレンC60のバルクヘテロ接合型複合薄膜を、混合溶液への貧溶媒注入と泳動電着により、半導体酸化スズ電極上に作製することに成功した。マイクロ波伝導度測定から、複合膜化により光誘起電荷分離が促進され、電荷再結合が抑制されることがわかった。そのため、それぞれの単成分膜と比較して、複合膜では光電流発生効率の向上が見られた。




Electron Transfer and Exciplex Chemistry of Functionalized Nanocarbons: Effects of Electronic Coupling and Donor Dimerization

Umeyama, T.; Imahori, H.

Nanoscale Horiz. 2018, 3, 352-366. DOI: 10.1039/c8nh00024g(Review)

 光誘起電荷分離および電荷再結合は、光電変換素子等の物理的挙動を理解するための最も基礎的な過程と言える。本総説では、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェンなどのナノ炭素材料を電子アクセプターとして用いたドナー-架橋子-アクセプター連結系の、構造と光物性の相関を、電子カップリングやドナーの二量化が与える影響に着目しつつ論じている。


Reversible π-system switching of thiophene-fused thiahexaphyrins by solvent and oxidation/reduction

Higashino, T.; Kumagai, A.; Sakaki, S.; Imahori, H.

Chem. Sci. 2018, 9, 7528–7539. DOI: 10.1039/C8SC02448K

 環拡張ポルフィリンの1つであるヘキサフィリンは、平面構造とメビウスの帯のようなねじれ構造の2つの構造を取ることが知られている。本研究では、チオフェン環が縮環したチアヘキサフィリンを合成し、非極性溶媒中ではねじれ構造(メビウストポロジー)での交差共役系、極性溶媒中では平面構造(ヒュッケルトポロジー)での環状共役系の寄与が支配的であることを明らかにした。すなわち、構造変化によって、チアヘキサフィリンがとる共役系のスイッチングが可能であることを実証した。








2017年(抜粋)


Occurrence of Photoinduced Charge Separation by the Modulation of the Electronic Coupling between Pyrene Dimers and Chemically Converted Graphenes

Umeyama, T.; Baek, J.; Mihara, J.; Tkachenko, N. V.; Imahori, H.

Chem. Commun. 2017, 53, 1025-1028. DOI: 10.1039/c6cc07985g(Cover pictureに選ばれました!)

 グラフェンに対して、ピレン二量体および単量体を選択的に連結し、ピレン会合構造が連結系の光物性に与える影響の評価を行った。グラフェン上のピレン二量体は、エキシプレックス状態を経て数ナノ秒以上の寿命を有する電荷分離状態を生成するのに対し、グラフェン上のピレン単量体では、エキシプレックス状態のみを生成する。AFM等による構造解析から、ピレン単量体-グラフェン連結系と比較して、ピレン二量体-グラフェン連結系ではドナー−アクセプター間の電子カップリングが小さくなることで、エキシプレックス状態から電荷分離状態への変換が可能となることが示唆された。



Regioisomer Effects of [70]Fullerene Mono-adduct Acceptors in Bulk Heterojunction Polymer Solar Cells

Umeyama, T.; Miyata, T.; Jakowetz, A. C.; Shibata, S.; Kurotobi, K.; Higashino, T.; Koganezawa, T.; Tsujimoto, M.; Gelinas, S.; Matsuda, W.; Seki, S.; Friend, R. H.; Imahori, H.

Chem. Sci. 2017, 8, 181–188. DOI:10.1039/C6SC02950G (Open access)

 フラーレン誘導体 [6,6]-phenyl-C71-butyric acid methyl ester([70]PCBM)は、高い変換効率を実現できるため、有機薄膜太陽電池の電子アクセプター材料として広く活用されている。本研究では、[70]PCBMが複数の異性体の混合物であることに着目し、その位置異性体を分離した上で共役系高分子PCDTBTと複合薄膜化することで、太陽電池性能が向上することを初めて見出した。


Thiophene-fused dithiaoctaphyrins: π-system switching between cross-conjugated and macrocyclic π-networks

Higashino, T.; Kumagai, A.; Imahori, H.

Chem. Commun. 2017, 53, 5091–5094. DOI:10.1039/C7CC01273J (Inside Front Coverに選ばれました!)

 5つ以上のピロールユニットからなる環拡張ポルフィリンは、その分子が持つ共役系が変化するとその性質も大きく変化する。本研究では、ジチエノ[3,4-b:3',4'-d]チオフェン骨格を導入したオクタフィリンを合成した。ジチエノチオフェン骨格は2通りの共役系を取ることができ、実際に硫黄原子を酸化することによって環状36π共役系から交差共役系へと変換可能であることを明らかにした。



2016年(抜粋)


Remarkable Dependence of Exciplex Decay Rate on Through-Space Separation Distance between Porphyrin and Chemically Converted Graphene

Umeyama, T.; Hanaoka, T.; Baek, J.; Higashino, T.; Abou-Chahine, F.; Tkachenko, N. V.; Imahori, H. 

J. Phys. Chem. C 2016, 120, 28337–28344. DOI:10.1021/acs.jpcc.6b10325

 光誘起電荷分離およびエキシプレックスのモデル系として、電子供与性のポルフィリンとグラフェンの連結系を構築し、ドナー−アクセプター間の電子的相互作用(電子カップリング)が光物性に与える影響について詳細に検討を行った。つまり、架橋子として直線状で堅固なオリゴ(p-フェニレン)(モノマーからペンタマー)を用い、その架橋子長を精密に制御した。すると架橋子長に関わらず、ポルフィリン-グラフェン連結系では光励起によりエキシプレックスが形成され、電荷分離状態を生じることなく基底状態に急速に失活することがわかった。AFM等による構造解析から、ポルフィリン-グラフェン間で生じたエキシプレックス状態の基底状態への失活は、結合を介してではなく、空間を介して起こっていることが示された。


Optical Control of Neuronal Firing via Photoinduced Electron Transfer in Donor–Acceptor Conjugatesy

Y. Takano, T. Numata, K. Fujishima, K. Miyake, K. Nakao, W. D. Grove, R. Inoue, M. Kengaku, S. Sakaki, Y. Mori, T. Murakami, and H. Imahori, Chem. Sci. 2016, 7, 3331–3337 (Open Access).

 光をトリガーに用いた細胞機能コントロールは、ミリ秒以下の時間オーダー、マイクロメートル以下の空間スケールでの精密な制御が可能である。しかし、一般的な化合物に光を照射すると、分子間エネルギー移動によって細胞毒性を持つ一重項酸素を作り出してしまう。本研究では、光照射時に一重項酸素発生状態(=三重項励起状態)と競合する「分子内電荷分離状態」を細胞環境下で効率的に発生させる分子を開発した。本手法により、既存とは異なるアプローチによる細胞膜電位の光制御が可能となり、神経細胞においてシグナル伝達に重要な「神経発火」を引き起こせることを見いだした。今後、 本分子設計をベースとすることにより、電荷分離状態を利用した、細胞膜電位だけでなく種々の細胞機能を光により調整・制御する手法の開発が可能になると考えられる。


Fusing Porphyrins and Phospholes: Synthesis and Analysis of a Phosphorus-Containing Porphyrin

Higashino, T.; Yamada, T.; Sakurai, T.; Seki, S.; Imahori, H.

Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 12311–12315. DOI:10.1002/anie.201607417 (Hot paperに選ばれました!)

 リン原子を含むπ共役分子であるホスホールが縮環したポルフィリンダイマーを世界で初めて合成した。この分子は2つのポルフィリン全体に共役系が良好に広がっているだけでなく、高い電子受容性を示すことも明らかにした。これらの性質はポルフィリンとホスホールを組み合わせたことによって初めて現れたものであり、新たなポルフィリン誘導体の開発に繋がるものと期待される。



2015年(抜粋)


Molecular Interactions on Single-Walled Carbon Nanotubes Revealed by High-Resolution Transmission Microscopy

Umeyama, T.; Baek, J.; Sato, Y.; Suenaga, K.; Abou-Chahine, F.; Tkachenko, N. V.; Lemmetyinen, H.; Imahori, H.

Nat. Commun. 2015, 6, 7732 (Open Access). DOI: 10.1038/ncomms8732

 京都大学ウェブサイトアイセムスウェブサイト日刊工業新聞Science DailyScience News Line
 
Phys OrgDemanjoECNAzo NanoChemeurope.com に取り上げられました!

 一般に個々の有機分子の特性は、その分子が有する化学構造により決定されるが、薄膜中など分子が会合した状態での性質は、隣り合う分子同士がどのように相互作用しているかによっても大きく影響される。しかしながら、有機分子の会合体の構造を簡便に知るための手法はこれまで無かった。本研究では、分子会合体の最小単位である二分子会合体の分子間相互作用を明らかにするために、原子レベルでその会合構造を決定し、有機分子の会合構造を初めて可視化した。通常、有機トランジスタや有機発光ダイオード、有機太陽電池などの有機デバイスにおいては、有機半導体性分子材料が薄膜状態で用いられるが、本研究で開発された手法を活用することで、分子会合構造の新たな設計指針が得られ、デバイス性能の向上が実現できると期待される。



Polymer-Assisted Construction of Mesoporous TiO2 Layers for Improving Perovskite Solar Cell Performance

Yue, Y.; Umeyama, T.; Kohara, Y.; Kashio, H.; Itoh, M.; Ito, S.; Sivaniah, E.; Imahori, H.

J. Phys. Chem. C 2015, 119, 22847–22854. DOI: 10.1021/acs.jpcc.5b07950

 制御された孔構造を有する多孔質酸化チタンは、太陽電池、光触媒、リチウムバッテリー、ガスセンサーなどの素子材料として近年大きな注目を集めている。本研究では、ホモポリマーであるポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)を添加した溶液のスピンコートによるゾル-ゲル法により、数十nmの粒子がつながった構造を有する多孔質酸化チタン薄膜を得ることに成功した。また、得られた多孔質酸化チタン膜を用いたペロブスカイト型太陽電池では、エネルギー変換効率が最大で14%程度となり、一般に用いられる酸化チタンナノ粒子ペーストを用いた系(13%程度)と比較して再現性よく向上することを見出した。



Single cis-2 Regioisomer of Ethylene-Tethered Indene Dimer–Fullerene Adduct as an Electron-Acceptor in Polymer Solar Cells

Tao, R.; Umeyama, T.; Higashino, T.; Koganezawa, T.; Imahori, H.

Chem. Commun. 2015, 51, 8233–8236. DOI: 10.1039/C5CC01712B

 Inside front coverに掲載されました!

 エチレンスペーサーで連結したインデン二量体をフラーレンと反応させることにより、二つのインデンがcis-2の位置に付加したcis-2-BIECを高選択的に得た。HPLCにより精製したcis-2-BIECをアクセプター、ポリチオフェン(P3HT)をドナーとして用いた有機薄膜太陽電池では、変換効率が2.8%となり、同条件下で作製したP3HT:PCBMの素子よりも性能の向上が見られた。



2014年(抜粋)


Effects of Alkyl Chain Length and Substituent Pattern of Fullerene Bis-Adducts on Film Structures and Photovoltaic Properties of Bulk Heterojunction Solar Cells

Tao, R.; Umeyama, T.; Kurotobi, K.; Imahori, H.

ACS Appl. Mater. Interfaces 2014, 6, 17313–17322. DOI: 10.1021/am5058794

 有機薄膜太陽電池の電子アクセプター材料としてフラーレン誘導体が広く用いられている。フラーレン二付加体は一付加体と比較して高いLUMO準位を有するため、高い開放電圧(Voc)を達成できる。以前の研究で我々は、ジヒドロナフチル二付加体を合成し、各位置異性体の違いがエネルギー変換効率に大きな影響を与えることを明らかにした。本研究では、位置異性効果とともに、ジヒドロナフチルに置換したアルコキシカルボニル基のアルキル鎖長が、太陽電池性能に与える影響を系統的に調べた。



Design and Control of Organic Semiconductors and Their Nanostructures for Polymer-Fullerene-Based Photovoltaic Devices

Umeyama, T.; Imahori, H.

J. Mater. Chem. A 2014, 2, 11545–11560 (Feature Article). DOI: 10.1039/c3ta15387h

 有機薄膜太陽電池の電子ドナー材料として、小さなバンドギャップを有する共役系高分子が広く用いられている。本総説では、1)キノイド共鳴構造を安定化するユニット、2)基底状態でキノイド構造を有するユニット、3)ホスホールなどのヘテロ原子を利用したユニット、4)ポルフィリンなどの色素構造ユニット、4)フッ素置換基を有するユニット を主鎖に組み込んだ低バンドギャップ高分子に対し、設計指針・合成・太陽電池性能などについて、我々の研究を中心にまとめた。また、フラーレン二付加体の位置異性体分離効果や、ナノサイズの構造を有するデバイスについても紹介している。




2013年(抜粋)


Photofunctional Hybrid Nanocarbon Materials

Umeyama, T.; Imahori, H.

J. Phys. Chem. C 2013, 117, 3195−3209 (Feature Article). DOI: 10.1021/jp309149s

 Cover Pictureに選ばれました!

 人工光合成や太陽光エネルギー変換素子に用いる有力な材料として、0次元・1次元・2次元のナノ構造を有する炭素同素体であるフラーレン・単層カーボンナノチューブ(SWNT)・グラフェンと、電子供与性の共役系化合物との複合体が注目されている。本総説では、フラーレン・SWNT・グラフェンとポルフィリンとを共有結合で連結した複合材料の基礎的物性に着目して概説した。とりわけ、ポルフィリンとナノカーボンとをつなぐ架橋子の構造により、基底状態および励起状態での両者の相互作用が大きく影響を受けることについて、筆者らの研究を中心にまとめた。



Incorporation of Graphene to Fullerene Clusters and Fullerene-Nanotube Composites and Their Photoelectrochemical Properties

Umeyama, T.; Baek, J.; Tezuka, N.; Morita, K.; Imahori, H.

ECS J. Solid State Sci. Technol. 2013, 2, M3001−M3007. DOI: 10.1149/2.001310jss

 グラフェンは極めて高い電子移動度を示すなど、優れた電子的性質を有することから、光電変換素子等への機能性材料としての応用が期待されている。またグラフェンは特異な単原子二次元構造を有しており、その平面上に他の機能性材料を集積することで新規複合材料を形成できる。本研究では貧溶媒注入法により、フラーレン-グラフェンおよびフラーレン−ナノチューブ−グラフェンの二元および三元ナノカーボン複合体を作製し、その光電気化学特性評価を行った。二元系では、フラーレンクラスターとグラフェンの相互作用により、電極への電子輸送の効率が向上したため光電流発生効率が向上した。一方三元系では、グラフェンが複合膜中でナノチューブ-フラーレン複合体による多孔性ネットワーク構造の形成を阻害するため、光電流発生効率が低下した。



Synthesis of 2-Alkenyl- and 2-Alkynyl-benzo[b]phospholes by Using Palladium-Catalyzed Cross Coupling Reactions

Matano, Y.; Hayashi, Y.; Suda, K.; Kimura, Y.; Imahori, H.

Org. Lett. 2013, 15, 4458–4461. DOI: 10.1021/ol401994e

 π共役ベンゾ[b]ホスホール誘導体は近年、機能性材料の母核として注目を集めており、その効率的な合成法の開発が重要な課題となっている。本研究では、まず2-ブロモベンゾ[b]ホスホールのHeck反応、Stille反応、薗頭反応を用いてホスホール環のα位にアルケニル基やアルキニル基を導入する一般的な合成法を確立した。また、合成したπ共役ホスホール誘導体の構造、光物性、および電気化学特性を系統的に調べた結果、末端への電子供与性置換基の導入により、π系全体が励起状態において高いCharge-Transfer性を示すことを明らかにした。さらに、Stille反応に適用できる新しい出発原料として、2-(トリブチルスタンニル)ベンゾ[b]ホスホールを合成し、有用性を示した。



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Last update 2019/01/17
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