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Research
研究内容

Measurement
測定

時間分解マイクロ波分光法(TRMC)法による電子材料の高速スクリーニング

半導体として用いられる材料の特性を支配する重要な指標である電荷移動度は、電荷の速さ(m s-1)を電界強度(V m-1)で除した単位であるm2V-1s-1を単位として評価され、"一定の電圧を印可した際に電子あるいは正孔はどれくらいの速度で進むことができるのか ?"という極めてシンプルな意味を有しています。
これを測定する手法は、後述するさまざまな方法が提案されていますが、いずれも電子や正孔にとって極めて長い距離を一定方向に輸送する"電流"としての検出が不可欠な方法です。

我々はこの電荷移動度を、光の仲間である電磁波・マイクロ波を用いて非接触・非破壊、かつ圧倒的なスピードで測定できるTime-Resolved Microwave Conductivity (TRMC)法の開発を進めています。将来の半導体材料の候補でありながら、測定する方法の煩雑さや精製の不十分さなど、本当の材料の性質をつかみ切れていなかった材料たちを見逃さず、正確に測定するための手法です。

Keyword

マイクロ波、半導体、電荷移動度、迅速診断

References

S. Seki, A. Saeki, T. Sakurai and D. Sakamaki
Charge carrier mobility in organic molecular materials probed by electromagnetic waves
Phys. Chem. Chem. Phys., 16, 11093-11113(2014). DOI: 10.1039/c4cp00473f
A. Saeki, Y. Koizumi, T. Aida, and S. Seki
Comprehensive Approach to Intrinsic Charge Carrier Mobility in Conjugated Organic Molecules, Macromolecules, and Supramolecular Architectures
Acc. Chem. Res., 45, 1193-1202(2012). DOI: 10.1021/ar200283b

マイクロ波を用いた半導体/絶縁体界面における電荷輸送の評価・測定法の開発

有機半導体材料を用いたほとんどすべての電子デバイスでは、半導体材料間、あるいは半導体と電極・絶縁体といった材料が相互に接触している界面で電荷が輸送されています。
しかし、界面だけに限定した電荷の輸送状態を正確に捉える技術はこれまでほとんどありませんでした。
本研究では、電極-絶縁体-半導体からなるMIS素子を空洞共振器内に導入し、マイクロ波による局所電場が電荷キャリアの移動のみを捉えることが可能な測定装置を開発しました。
ペンタセン/ポリメチルメタクリレートを用いたMIS素子の測定を実際に行い、ゲート電圧に応答して電荷が蓄積されていく様子を反射マイクロ波変化量の時間変化および電流の時間変化としてモニタリングすることに成功しました。

Keyword

有機半導体、絶縁体、界面、電荷輸送、グラフェン、Dirac電子

References

W. Choi, T. Miyakai, T. Sakurai, A. Saeki, M. Yokoyama, and S. Seki
Non-contact, non-destructive, quantitative probing of interfacial trap sites for charge carrier transport at semiconductor-insulator boundary
Appl. Phys. Lett., 105, 33302(2014). DOI: 10.1063/1.4891052
Y. Honsho, T. Miyakai, T. Sakurai, A. Saeki, and S. Seki
Evaluation of Intrinsic Charge Carrier Transport at Insulator-Semiconductor Interfaces Probed by a Non-Contact Microwave-Based Technique
Sci. Rep., 3, 3182(2013). DOI: 10.1038/srep03182

複合電磁波分光法による有機・無機半導体材料の高圧下伝導特性・構造評価

共役π電子系を有する物質の電子物性の多くは巨視的・微視的な電荷キャリアの挙動が支配しています。
特に電子素子として用いる際には、分子集合体の集積構造だけでなく、分子そのものの構造や熱運動特性とキャリア輸送の相関が最も基礎的かつ重要な因子で、最終的に形成される素子の実性能に直結します。
この研究では、発達したπ電子系を有する分子の集積構造や相構造を積極的に制御するために、主に圧力を用いています。
超高圧下における分子の形と積層構造・熱運動特性をを主としてラマン分光法・電子スピン分光法などにより展開し、同時に本計画研究グループがこれまで培ってきた(超)高圧下マイクロ波分光測定法との同時定量分析により、キャリア生成から局所電荷輸送にわたるキャリアダイナミクスを明らかにすることを目的としています。

Keyword

超高圧、半導体、ラマン分光、マイクロ波

References

Y. Noguchi, A. Saeki, T. Fujiwara, S. Yamanaka, M. Kumano, T. Sakurai, N. Matsuyama, M. Nakano, N. Hirao, Y. Ohishi, and S. Seki
Evaluation of Pressure Modulation of Backbone Conformation and Intermolecular Distance of Conjugated Polymers Toward Understanding the Dynamism of π-Figuration of their Conjugated System
J. Phys. Chem. B, 119, 7219-7230(2015). DOI: 10.1063/1.4891052

特異な構造・電子状態を有する分子の開発と応用

分子の構造と電子状態、ひいては分子が示す物性(外場に対する電子状態の応答)は密接に関連しており、分子構造をデザインすることは機能をデザインすることと同義であると我々は考えています。
我々は、これまでにない機能をもった分子の開発を目指して、特異な構造(積層 π共役系、らせん状 π共役系など)および特異な電子状態(開殻電子系など)をもった分子、さらには構造変化によって電子物性が変調する分子(圧力応答性分子)などについて、量子化学の原理に基づいた合理的な設計をおこない、実際に合成・物性解明をおこなう包括的な研究に取り組んでいます。

Keyword

ラジカル、電子スピン分光、ラマン分光、マイクロ波

References

D. Sakamaki, D. Kumano, E. Yashima, and S. Seki
A Facile and Versatile Approach to Double N-Heterohelicenes: Tandem Oxidative C-N Couplings of N-Heteroacenes via Cruciform Dimers
Angew. Chem. Int. Ed., 54, 5404-5407(2015). DOI: 10.1002/ange.201502273

Synthetic
合成

分子の”かたち”に着目した新しい有機半導体材料の設計

π共役系分子を構成要素とする様々な有機半導体が近年開発されています。
本研究では、有機分子の設計自由度の高さを利用し、変わった形の分子骨格構造を利用することで新しい機能を実現したり、新しい概念を提案したりすることを目標としています。
例えば、π共役系ディスク状分子が一次元に連なった”シシカバブ型”の特異な構造を持つ高分子を利用し、電子ドナー・アクセプター分子骨格が整列したナノ構造を形成させることで、高い光電気伝導性を発現する有機材料を実現できることを見出しています。

Keyword

有機半導体、π共役系分子、自己組織化、光電気伝導性、マイクロ波

References

S. Yoneda, T. Sakurai, T. Nakayama, K. Kato, M. Takata, and S. Seki
Systematic Studies on Side-Chain Structures of Phthalocyaninato-Polysiloxanes: Polymerization and Self-Assembling Behaviors
J. Porphyrins Phthalocyanines, 19, 160–170(2015). DOI: 10.1142/S1088424614501053

周辺側鎖の精密設計を駆動力とする有機半導体材料の設計

π共役系分子の周辺をアルキル鎖等の柔軟な側鎖で修飾することによって、自己組織化により液晶性や自己修復性を有する有機半導体を開発することができます。
さまざまなπ共役系分子骨格構造に注目が集まる背景の中、我々は側鎖構造に着目し、互いに混じり合いにくい側鎖(アルキル鎖、エチレングリコール鎖、フルオロアルキル鎖、など)を用いることで、巨大なπ共役系分子をさまざまな形式で集積させることが可能であることを見出しています。
さらに、複雑な二成分π共役系混合材料においても、この分子設計指針を拡張することで高秩序なナノ構造を実現し、高い半導体特性へとつながる研究を展開しています。

Keyword

有機半導体、π共役系分子、周辺側鎖、液晶、自己組織化

References

Y. Tsutsui, T. Sakurai, K. Kato, M. Takata, and S. Seki
Side Chain-Directed Assembly of Large Discotic π-Conjugated Molecules: Toward Tuning and Stabilization of Mesophases
J. Photopolym. Sci. Tech., 28, 583-587(2015). DOI: 10.2494/photopolymer.28.583
T. Sakurai, Y. Tsutsui, K. Kato, M. Takata, and S. Seki
Preferential Formation of Columnar Mesophases via Peripheral Modification of Discotic π-Systems with Immiscible Side Chain Pairs
J. Mater. Chem. C, 4, 1490-1496(2016). DOI: 10.1039/C6TC00021E

様々な次元性の電荷輸送能を有する材料の局所電荷移動度の評価

我々の研究室では、他の研究グループとの共同研究も積極的に進めており、マイクロ波を用いた手法により新しい一次元・二次元電荷輸送材料の局所電気伝導度/電荷移動度の評価を進めています。
最近の研究報告例を以下に紹介します。
一次元電荷輸送経路が被覆された構造を持つポリロタキサンの電極レス電荷移動度評価を行い、ジグザグ型フェニレンエチニレンが直線形のそれよりも高い電荷移動度を示すことを明らかにしました。
また、自己組織的にナノチューブやベシクルを形成する折りたたみ高分子のナノ構造と電荷輸送特性の相関を議論しています。これらは、光励起電荷キャリア生成型の測定法によって評価しています。
一方、電荷注入キャリア生成型の測定法を用いることで、拡張ヘテロアセン材料がその分子構造や絶縁体との界面での集積構造に依存して電荷移動度をどのように変化させるかについて構造解析・電荷輸送評価の側面から実験的に議論しています。
また、共役配位高分子の電荷輸送特性評価なども行っています。
特に、溶液での基板上への結晶成長を利用し不溶性均一薄膜を形成させることによって、今まで明らかにされていなかった新しいタイプの材料の電荷輸送能を明らかにしています。

Keyword

有機半導体、π共役系分子、マイクロ波、電荷移動度、一次元、二次元、過渡吸収分光

References

J. Terao, A. Wadahama, A. Matono, T. Tada, S. Watanabe, S. Seki, T. Fujihara, and Y. Tsuji
Design principle for increasing charge mobility of π-conjugated polymers using regularly localized molecular orbitals
Nature Commun., 4, 1691(2013). DOI: 10.1038/ncomms2707
T. Mondal, T. Sakurai, S. Yoneda, S. Seki, and S. Ghosh
Semiconducting Nanotubes by Intrachain Folding Following Macroscopic Assembly of a Naphthalene-Diimide (NDI) Appended Polyurethane
Macromolecules, 48, 879-888(2015). DOI: 10.1021/ma502410d
Y. Tsutsui, T. Sakurai, S. Minami, K. Hirano, T. Satoh, W. Matsuda, K. Kato, M. Takata, M. Miura and S. Seki
Evaluation of Intrinsic Charge Carrier Transporting Properties of Linear- and Bent-Shaped π-Extended Benzo-Fused Thieno[3,2-b]thiophenes
Phys. Chem. Chem. Phys., 17, 9624-9628(2015). DOI: 10.1039/C5CP00785B
J. Guo, Y. Xu, S. Jin, L. Chen, T. Kaji, Y. Honsho, M. A. Addicoat, J. Kim, A. Saeki, H. Ihee, S. Seki, S. Irle, M. Hiramoto, J. Gao, and D. Jiang
Conjugated organic framework with three-dimensionally ordered stable structure and delocalized π clouds" Nature Commun.
J. Mater. Chem. C, 4, 2736(2013). DOI: 10.1038/ncomms3736
J. Liu, W. Zhou, J. Liu, I. Howard, G. Kilibarda, S. Schlabach, D. Coupry, M. Addicoat, S. Yoneda, Y. Tsutsui, T. Sakurai, S. Seki, Z. Wang, P. Lindemann, E. Redel, T. Heine, and C. Wöll
Photoinduced Charge Carrier Generation in Epitaxial MOF Thin Films: High Efficiency as a Result of an Indirect Band Gap?
Angew. Chem. Int. Ed., 54, 7441-7445(2015). DOI: 10.1002/anie.201501862
L. Sun, T. Miyakai, S. Seki, and M. Dinca
Mn2(2,5-disulfhydrylbenzene-1,4-dicarboxylate): A Microporous Metal−Organic Framework with Infinite (−Mn−S−)∞ Chains and High Intrinsic Charge Mobility
J. Am. Chem. Soc., 135, 8185-8188(2013). DOI: 10.1021/ja4037516

Nanowires
ナノワイヤ

単一粒子ナノ加工法を用いた機能性ナノワイヤの創成

当研究室で、ナノ構造体を形成する手法として荷電粒子を利用した単一粒子ナノ加工法(SPNT法) を確立いたしました。
この手法は、加速された荷電粒子 (イオンビーム) を高分子の薄膜に照射し、荷電粒子の飛跡に沿った部分にのみエネルギーを与えます。
ナノメートルスケールの超微細空間内で高分子の架橋反応が効率的に起こります。
適当な溶媒で未反応部分を溶出させて除くと、均一な高分子のナノワイヤとなります。
導電性高分子から生体高分子材料まで、さまざまな高分子材料を自由にナノ構造化し、多くの機能・新しい機能をあわせ持つナノ材料の創製を行っています。

Keyword

荷電粒子、ナノワイヤ、架橋反応、イオンビーム

References

H. L. Cheng, M. T. Tang, W. Tuchinda, K. Enomoto, A. Chiba, Y. Saito, T. Kamiya, M. Sugimoto, A. Saeki, T. Sakurai, M. Omichi, D. Sakamaki, and S. Seki
Reversible Control of Radius and Morphology of Fluorene-Azobenzene Copolymer Nanowires by Light Exposure
Adv. Mater. Interfaces, 2, 1400450(2015). DOI: 10.1002/admi.201400450
M. Omichi, A. Asano, S. Tsukuda, K. Takano, M. Sugimoto, A. Saeki, D. Sakamaki, A. Onoda, T. Hayashi, and S. Seki
Fabrication of enzyme-degradable and size-controlled protein nanowires using single particle nano-fabrication technique
Nature. Commun., 5, 3718(2014). DOI: 10.1038/ncomms4718
Y. Maeyoshi, A. Saeki, S. Suwa, M. Omichi, H. Marui, A. Asano, S. Tsukuda, M. Sugimoto, A. Kishimura, K. Kataoka, and S. Seki
Fullerene nanowires as a versatile platform for organic electronics
Sci. Rep., 2, 600/1-6(2012). DOI: 10.1038/srep00600